◎ 定期借地権設定時の
 一括前払賃料



定期借地権設定の際の一時金が契約書で前払い賃料として明らかな場合には・・・



◆ 定期借地権の設定と <保証金に係る経済的利益>


  • 定期借地権設定時において、預り保証金等の名目で金銭を受入れた場合における保証金の運用等により土地所有者が受ける経済的利益は、その運用方法により次のような課税関係となります。

  • 経済的利益 = 預り保証金額 × 適正な利率


     保証金の運用方法経済的利益に対する課税
  • 事業用に支出
  • 土地の造成等、業務に係る
    支払等に充てた場合
     課税関係なし
  • 金融資産運用
  • 預貯金や公社債などの金融
    商品等で運用した場合
     利子収入等は源泉徴収されるので、
     経済的利益については課税関係なし
  • 家事用に支出
  • 自宅の改築や家事用の消費
    、相続税等に充てた場合
     経済的利益を不動産所得として申告




    ◆ 定期借地権の設定には、 <賃料の前払いとしての一時金> 方式の活用を!!


    ◎ この取扱いは国土交通省が国税庁に意見照会し、国税庁が了承する形で
    取扱いが改正されました



    【 具体的内容 】


  • 定期借地権設定時において、借地人(借地権者)が土地所有者(借地権設定者)に対し
    借地に係る契約期間の賃料の一部又は全部を一括前払いの一時金として授受することを契約書で定めて履行した場合
  • ● 賃料を前払いした借地権者については 「前払費用」
    ● 賃料を前受けした借地権設定者については 「前受収益」
    として計上し、期間配分することができることとされました


    利 用 者
    (借地人)
    権  利  金 賃料の前払いとしての一時金
  • 減価償却できない
    (契約終了時に全額特別損失)
  • 期間に応じて費用化
    (前払費用)
  •   
    所 有 者
    (土地所有者)
  • 一時に課税される
    (個人の場合、累進課税)
  • 期間に応じて収益計上
    (前受収益)



  • ◆ この取扱いの適用を受ける場合の契約の注意点

    従来の保証金方式
    との区分

    明確にするため
    この一時金は契約終了時において返還がないことを契約に明記
    従来の権利金方式
    との区分

    明確にするため
    途中で契約を打ち切る場合、残余期間の賃料に充当されるべき
    金額の返還をする
    ことを契約に明記
    ◎ 国土交通省の 「一時金を前払賃料とする書式例」 を参考にするとよい

    前払賃料を一時金で授受した上で、「固定資産税相当分」を月額分に応じて定めることも可能



    ◆ この取扱いの適用を受ける場合の消費税の扱い

    地 主 側
    (土地所有者)
     土地の貸付は非課税となり、一時金のうち課税期間内の賃料に
     充当された金額を非課税売上として課税売上割合の計算を行う
    利 用 者
    (借地人)
     賃料に充当された金額は課税仕入れになりません




    ≪土地活用に戻る≫


    この取扱いは「定期借地権設定時において」とされており、今後の定期借地権設定契約から適用されますが、既存の契約を合意解除し改めて定期借地契約を交わせば適用があるかどうかは確認が必要です。



    mail: hy1950@manekineko.ne.jp
    tel: 06-6681-2144  税理士 服部行男
    http: //www.manekineko.ne.jp/hy1950/